3つのバッテリー式刈払い機を使って実験|マキタ・共立・ゼノアの違いは?

3つのバッテリー式刈払い機を使って実験|マキタ・共立・ゼノアの違いは?

バッテリー式刈払い機を選ぶとき、気になるのはカタログスペックだけではありません。実際に負荷がかかったときにどういう挙動をするのか。止まりやすいのか、粘るのか、それとも保護制御が早めに入るのか。

今回は、マキタ MUR007共立エコー BSR510ゼノア BCi260の3機種を使って、ちょっと変わった比較実験をしてみました。

試したのは、たらいに張った水の中で、ナイロンカッターに意図的に逆方向の水流負荷をかけるというものです。普通の草刈りとは違う条件ですが、こういう極端な負荷をかけると、各メーカーの制御や機械の性格が見えやすくなります。

もちろん、この結果だけで機械の良し悪しすべてが決まるわけではありません。各メーカーとも、いろいろな使用状況を想定して設計していますし、保護制御の考え方も違います。

そのうえで、バッテリー式草刈機・刈払機選びの参考になる一例として、かなり面白い結果が出ました。

今回実験した3機種

  • マキタ MUR007
  • 共立エコー BSR510
  • ゼノア BCi260

電圧だけ見ても、それぞれ性格が違います。

  • マキタ MUR007は40Vクラス
  • 共立エコー BSR510は3機種の中でバッテリー容量的にも存在感が大きいモデル
  • ゼノア BCi260は36Vで、今回の中では電圧がもっとも低い部類

普通に考えると、電圧が高いほうが有利そうに見えます。ただ、実際の使用感や負荷への反応は、単純に電圧だけでは決まりません。モーター制御、保護回路、出力の出し方、粘り方など、いろいろな要素が効いてきます。

たらいの水流負荷を使ったバッテリー式刈払い機性能実験の様子

実験方法。できるだけ条件をそろえて比較

こういう比較で大事なのは、できるだけ条件をそろえることです。今回は、次の点を統一して試しました。

  • 同じメーカーのナイロンカッターを使用
  • ナイロンコードの長さをそろえる
  • 同じように水流負荷がかかる状態で実施

ナイロンカッターやコードの長さが変わると、回転抵抗や負荷のかかり方が変わります。そうなると、本体の差なのか、アタッチメントの差なのか分からなくなってしまいます。

そのため、なるべく同条件に寄せて、機械そのものの違いが出やすいようにしています。

なぜ「水流の逆負荷」なのか

今回のポイントはここです。

たらいに水を張り、ホースで勢いよく水を噴射して水流を作ります。そこへ刈払い機のナイロンカッターを入れて回すことで、通常の回転に対して逆らうような負荷を発生させます。

水を片側から噴射すると、たらいの中で水が時計回りに渦を巻きます。一方で、刈払い機側の回転方向との関係によっては、その渦が逆流的な抵抗として働きます。

この状態を作ることで、機械が不意に強い抵抗を受けたときにどう反応するのかを見よう、というのが実験の狙いです。

実際の草刈り現場でまったく同じ状況が起こるわけではありませんが、ナイロンカッターが重くなる、草が絡む、湿った草に押し返される、といった「負荷変動」に対する反応を見るには、分かりやすい試し方だと思います。

たらい水流実験で草刈り機が反時計回り(左回転)である説明付きの様子

マキタ MUR007の結果。早めに停止

まず試したのはマキタ MUR007です。

40Vクラスなので、数字だけ見れば中間的な立ち位置です。実験では水流負荷を与えたところ、比較的早い段階でエラーになり、停止しました。

マキタ MUR007が負荷過多で停止した水流負荷実験の様子

この挙動だけを見ると、「止まりやすい」と感じるかもしれません。ただ、ここは見方が大事です。

負荷がかかりすぎたときに止まるのは、必ずしも弱いという意味ではありません。むしろ、機械を守るために保護回路がしっかり働いた結果とも考えられます。

バッテリー式の機械は、モーターや基板、バッテリーをどう守るかが非常に重要です。無理に回し続ければ、発熱や故障リスクが増えます。だからこそ、一定以上の負荷で停止する制御は、安全面や耐久性を重視した設計思想とも言えます。

つまり、今回のような極端な条件では止まったけれど、現場での安心感という意味ではプラスに捉えられる部分もある、ということです。

共立エコー BSR510の結果。トルク感はかなり強い

次に試したのが共立エコー BSR510です。

このモデルは、3機種の中でもバッテリーの存在感が大きく、実験前から「どんな反応をするか楽しみ」と感じる1台でした。

結果としては、こちらも途中で停止しました。ただし、印象として強かったのはトルク感です。

共立エコー BSR510で水流逆負荷テストを行う様子

実際に負荷をかけたとき、3機種の中でもかなり「水の中へ押し込んでいく力」を感じました。単純に回転しているだけではなく、負荷に対して踏ん張る感じがある。ここはBSR510の大きな個性だと思います。

最終的には止まったとしても、負荷がかかっている最中の押しの強さ、パワー感はかなり印象的でした。

草刈り機や刈払機では、最高回転数だけでなく、負荷がかかったときにどれだけ粘るかが作業感に直結します。丈のある草や、やや重たい条件でナイロンカッターを使う場面では、この「押しの強さ」が頼もしさにつながることがあります。

ゼノア BCi260の結果。止まらず回り続けた

3台目はゼノア BCi260です。

36Vなので、今回の3機種の中では電圧面でいえばもっとも小さい部類です。ところが、結果はかなり特徴的でした。

止まらずに回り続けたのです。

ゼノア BCi260の水流負荷実験セット(たらいとナイロンカッター)

しかも途中で、水流が逆流し始めるような状態になっても、そのまま回転を維持しました。逆流状態のままでも止まらず、回り続けたというのは、かなり印象に残る挙動です。

この結果を見ると、BCi260は負荷変化に対する制御の仕方や、回転維持の性格がかなり独特です。単純な電圧差だけでは説明しきれない部分で、機械としての仕上がりが見えてきます。

もちろん、これだけで「最強」と言い切るのは早いです。ですが、今回の実験テーマに限って言えば、一番粘り強かったのはゼノア BCi260でした。

結果を一覧で整理するとこうなる

  • マキタ MUR007
    強い負荷でエラー停止。保護制御が早めに効く印象
  • 共立エコー BSR510
    途中で停止。ただしトルク感、押しの強さはかなり感じる
  • ゼノア BCi260
    逆流状態でも止まらず回転を維持

こうして並べると、それぞれかなり性格が違います。

この実験から分かること。単純な優劣ではなく「設計思想の違い」

今回の比較で一番面白いのは、単純な勝ち負けではなく、メーカーごとの考え方の違いが見えてくる点です。

1. 保護を重視するタイプ

負荷がかかりすぎたら止める。これは、安全性や耐久性を優先した設計です。無理をさせないことで、モーターや制御系を守る考え方ですね。

今回のマキタの挙動は、そうした方向性を感じさせました。

2. トルク感をしっかり出すタイプ

負荷がかかった瞬間に、ぐっと押し返すようなパワー感がある機械は、使っていて安心感があります。数字では見えにくいですが、作業者が「強いな」と感じる部分です。

共立エコー BSR510は、この性格がはっきり出ていたと思います。

3. 負荷変動に対して回転維持を優先するタイプ

多少の逆負荷が来ても止まらず、回し続ける。これは実作業での粘り強さにつながる可能性があります。

ゼノア BCi260は、この点でとても印象的でした。

逆負荷下でゼノア BCi260が止まらず回転維持している様子

ただし、この実験だけで全ては決められない

ここは大事なところです。

今回の実験は、あくまで一部の条件での比較です。実際の草刈りでは、次のような要素も大きく効いてきます。

  • 本体重量とバランス
  • ハンドル形状や操作性
  • 連続使用時間
  • ナイロンカッターとの相性
  • チップソー使用時の感触
  • 振動の少なさ
  • 保守性やアフターメンテナンス

たとえば、保護制御が早めに働く機種は、過酷な使い方をしたときに安心かもしれません。逆に、止まりにくい機種は作業効率の面で魅力があります。

どちらが良いかは、使う人の現場次第です。

住宅地周りの軽作業が中心なのか、法面や広い敷地で長時間使うのか。ナイロンメインなのか、チップソーメインなのか。そういう前提が変われば、選ぶべき機械も変わります。

バッテリー式草刈機を選ぶときの見方

今回の結果を踏まえると、バッテリー式刈払い機を選ぶときは、電圧やカタログの数字だけで決めないほうが良いと改めて感じます。

選ぶときは、少なくとも次の3点は意識すると失敗しにくいです。

1. 負荷がかかったときの性格

止まりやすいのか、粘るのか、押しが強いのか。この違いは作業感に直結します。

2. 安全性と保護制御

機械を長く使ううえで、保護回路の考え方は重要です。止まることが必ずしもマイナスではありません。

3. 自分の作業内容との相性

軽い草をこまめに刈る人と、重い草を一気に処理したい人では、求める機械が違います。

たとえば、

  • 安心感重視なら保護制御がしっかりしたモデル
  • 押しの強さ重視ならトルク感のあるモデル
  • 止まりにくさ重視なら回転維持に強いモデル

こういう見方をすると、選定がかなりしやすくなります。

今回の実験で感じた率直な印象

率直に言うと、ゼノア BCi260が止まらずに回り続けたのはかなり驚きました。36Vという数字だけでは分からない強さがあります。

一方で、共立エコー BSR510のトルク感もとても印象的でした。実際に負荷を受けたときの「押し」は魅力です。

そして、マキタ MUR007の停止についても、単純にマイナス評価にはなりません。機械保護をしっかり効かせるという意味では、これはこれで非常に理にかなっています。

つまり、3機種とも違った良さが出た、ということです。

バッテリー式刈払機3機種(マキタ MUR007・共立エコー BSR510・ゼノア BCi260)を前に説明する様子

まとめ。バッテリー式刈払い機は「止まる・止まらない」だけで見ない

今回の水流実験では、3つのバッテリー式刈払い機にかなりはっきりした違いが出ました。

  • マキタ MUR007は保護制御が早めに働く印象
  • 共立エコー BSR510はトルク感と押しの強さが印象的
  • ゼノア BCi260は逆流状態でも回り続ける粘り強さが際立った

ただし、これはあくまで一つの実験結果です。草刈機、刈払機は、実際の作業環境や使い方との相性で評価が大きく変わります。

大切なのは、カタログスペックだけでなく、機械の性格を見ることです。

止まるならなぜ止まるのか。回り続けるなら、どういう制御で粘っているのか。トルク感はあるのか。そういう視点で見ると、バッテリー式草刈機選びはぐっと面白くなります。

バッテリー式刈払い機を検討している方は、今回のような挙動の違いも参考にしながら、自分の現場に合った1台を選んでみてください。

 

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