今回は専用工具を使ったチェーンソーのチェーンの目立て方法について、詳しく解説していきます。チェーンの刃が切れなくなってしまったとき、手動でヤスリを使う方法もありますが、電動工具を使うことで効率よく、正確に目立てが可能です。この記事では、チェーンソーシャープナーの使い方から、目立てに最適な砥石の選び方、目立て時の注意点までを丁寧にご紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、チェーンソーのメンテナンスにお役立てください。
目立てに使う専用工具の紹介
まず、今回使用するチェーンソーシャープナーについて説明します。私が使っているのは京セラのチェンソーシャープナー CBS60です。この工具は弊社の出張修理でも使用しており、信頼性の高いモデルです。100Vのコンセントに差して使う電動リューターのような工具で、チェーンの刃を研ぐ角度が分かりやすいゲージが付いているのが特徴です。スイッチON/OFFだけのシンプルな設計なので、初心者の方でも扱いやすいです。
他にも様々なメーカーからチェーンソー用のシャープナーが販売されていますが、個人的にはこのモデルが最もシンプルで使いやすいと感じています。
目立て用の砥石について
次に、目立てに使う砥石について紹介します。今回使用するのはハートフルジャパン製の軸付きダイヤモンド砥石です。ダイヤモンド砥石は非常に硬く、チェーンの刃を効率よく研ぐのに適しています。
砥石のサイズはチェーンの種類によって異なります。今回紹介するのは4mmと4.8mmの2種類です。3本セットで販売されており、セットを開けると小さな砥石が入っています。これを先ほどのリューターに取り付けて使用します。
リューターには4mmの砥石が1本付属していますが、これはダイヤモンド砥石ではありません。より高性能な目立てを求めるなら、別売りのダイヤモンド砥石を購入して使用することをおすすめします。ご使用のチェーンに合ったサイズの砥石を選んでください。
砥石の取り付け方
砥石の取り付けはリューターの先端に行います。専用のスパナが付属していて、これを使って砥石を固定します。スパナでナットを緩める際、リューターの回転部分をロックするボタンを押しながら回すと簡単です。ナットが緩んだら砥石を差し込み、手で軽く回してからスパナでしっかり締めます。締める際もボタンを押しっぱなしにしてロック状態を保ちます。
この専用スパナは小さく紛失しやすいので注意が必要です。もし失くしてしまった場合、通常の10mmスパナでは厚みがあり、工具のゲージに当たって回しづらいことがあります。私は持ち運び用の金具にスパナを通して保管し、紛失を防いでいます。
メタテクランプでチェーンソーを固定して安定した目立てを実現
チェーンソーの目立て作業では、ガイドバーが力を入れると動いてしまい、不安定になってしまうことがよくあります。そんな時に役立つのがメタテクランプです。このクランプを使うと、ガイドバーとチェーンソー本体をしっかり固定できるため、目立てがとても楽になります。
使い方は簡単で、切り株などに目立てクランプをハンマーで打ち付けて固定します。次にガイドバーをクランプに挟み込み、ネジを締めて固定。注意したいのは、ガイドバーをクランプの板に直接当てて締めると、目立て中にチェーンが回らなくなるので、少し浮かせた状態で固定することです。
このように固定すれば、チェーンソーが動かず、目立て作業が安定します。フリーハンドでの目立てに不安がある方や、より正確に研ぎたい方におすすめです。
チェーンソーの刃の状態を確認し、目立ての準備をしよう
目立てを始める前に、チェーンの刃の状態をしっかり確認しましょう。特に、石や硬いものに当たって刃の先端が削れてしまっている部分は注意が必要です。刃の先が0.5mmほど色が変わっていることが多く、これは表面のメッキが剥がれてしまっている証拠です。
このメッキが剥がれた部分は切れなくなっているため、チェーンソーシャープナーでしっかり削り落とします。全ての刃に同様の状態があれば、均一に研いでいくことが重要です。
目立て開始の印を付ける
どこから目立てを始めたか分かるように、マジックで印をつけておくと便利です。これにより、一周したかどうかの確認がしやすくなります。
30度の角度に注意して研ぐ
チェーンソーシャープナーには30度の角度が分かるゲージが付いています。この30度の線とチェーンのガイドが平行になるように合わせて研ぎます。これにより、適切な角度で刃を削ることができ、切れ味が戻ります。
研ぐ際は刃が動かないようにしっかり押さえながら行い、前後に動かすと研ぎやすいです。砥石を当てる角度や力の入れ方に気をつけてください。
電動シャープナーを使うメリットと安全対策
手動のヤスリやホルダーを使う方法もありますが、石を引いて刃が大きく削れてしまった場合は、電動のチェーンソーシャープナーを使うのが圧倒的に効率的です。早く、楽に、そして均一に目立てができます。
ただし、電動工具を使う際は安全対策が欠かせません。刃に直接触れることになるのでゴム製の手袋を必ず着用してください。布製の手袋だと繊維が巻き込まれてしまい危険です。ゴム製手袋なら巻き込みや怪我のリスクを抑えられます。
研ぐ時の力の入れ方
研ぐ際は刃の根元に向かって後ろから少し上向きに力を入れるのがコツです。刃の先端に直線的に力を入れるのではなく、刃の後ろ側に優しく圧をかけるイメージで研ぐと、刃の形を崩さずにきれいに研げます。
目立て後の仕上げと反対側の刃の研ぎ方
目立てが終わったら、鉄粉や削りカスが刃に付着しています。これが目立て角度の目印を見えづらくすることがあるので、パーツクリーナーなどで拭き取るのがおすすめです。汚れが取れて角度が見やすくなり、次の作業もスムーズに行えます。
チェーンの右側と左側の刃は向きが違うため、通常は逆方向から研ぎますが、今回紹介している強セラーのチェンソーシャープナーは回転方向が変えられない仕様です。そのため、右側の刃も同じ方向から研ぐ必要があります。
逆方向に研ぐと刃が巻き込まれたような形になり、切れ味が落ちる恐れがあります。右の刃も左の刃と同じ向きから研ぐようにしてください。
刃の長さを揃えることの重要性
フリーハンドで目立てをされている方はお気づきかもしれませんが、右側の刃と左側の刃の長さが違っていることがあります。これが原因で薪を切るときにまっすぐ切れず、曲がってしまうことがあります。
本来は右と左の刃の長さを揃えることで、チェーンソーがまっすぐ安定して切れるようになります。電動のチェーンソーシャープナーを使うと、この長さの調整も比較的簡単に行えます。
目立ての際の注意点と正しい力の入れ方
目立ての時に注意したいのは、チェーンのリベット(つぎ目)部分を削ってしまわないことです。無理に力を入れて強く押し込むと、リベットを傷めてしまいチェーンの破損や外れの原因になります。
目立てはエンジン側に力を入れるイメージで行い、刃の根元を丁寧に研ぐことが大切です。こうすることでリベット部分を守りつつ、効率的に刃を研ぐことができます。
チェーンの種類に合わせた砥石の選び方
今回使用したチェーンは「25AP」という種類で、4mmの砥石を使うのが適しています。もっと大きなチェーン(21BPXや95TXLなど、オレゴン表記)には4.8mmの砥石が適合します。
どの砥石を使えば良いか分からない場合は、購入時に付属しているヤスリのサイズ表記を確認してください。4mmや4.8mmなどの表記があり、それに合わせて砥石を選べば問題ありません。
まとめ:専用工具で安全かつ効果的なチェーンソーの目立てを
目立て作業は安全第一で行い、必ずゴム製の手袋を着用してください。刃は鋭利で怪我のリスクがあるので、丁寧に慎重に作業しましょう。
また、目立ては切れ味を回復させるだけでなく、作業効率や安全性にも直結します。日頃からこまめなメンテナンスを心がけ、チェーンソーを長く快適に使い続けてください。