ゼノア ハンディブロワ 機種別の違いをわかりやすく解説します

ゼノア ハンディブロワ 機種別の違いをわかりやすく解説します

今回はゼノア(Zenoah)から発売されているハンディブロワのうち、よく混同されやすい2機種「HBZ260EZ」と「HBZ260LV」の違いを現場の整備士・販売員の目線で詳しくご説明します。見た目が似ているため店頭でもお客様に「違いは何ですか?」とよく聞かれる機種です。購入を迷っている方の参考になればと思い、違いをひとつずつ整理していきます。
※画像では「ブロア」と記載されていますが、「ブロワ」が正しい商品名になります。

概要

この記事では以下の点を中心に解説します。

  • 基本スペックの比較(排気量、重量、風速・風量など)
  • 本体構造の違い(ノズル形状、ボディのカーブ、ダンパースプリング)
  • 付属パーツの違い(フラットノズルの有無、バキュームキットの有無)
  • 日常の使い勝手(グリップ、静電気対策、アシストグリップ、スロットルロック)
  • なぜ設計が変わったのか(実際の使用で出る問題点や改善点)
  • どちらを選べば良いかの具体的アドバイス

HBZ260EZとHBZ260LVの並んだ外観

両機種の共通点(基本情報)

両モデルともゼノアのハンディタイプのエンジンブロワで、基本的なエンジン出力領域や用途は共通しています。以下が共通点のおさらいです。

  • 排気量はほぼ同じ:25.4cc(一般的に「26cc」と呼ばれるクラス)
  • エンジンは一体の2ストロークエンジン/アシストスタート装備
  • エアフィルターは二重構造(布フィルター+スポンジ)で粉塵からエンジンを保護
  • グリップはゴム製のカバーがつき、作業中に起こる静電気対策が施されている
  • アシストグリップやスロットルロック機構など、実作業を意識した機能が装備

HBZ260EZのエンジン部分と重量表示のクローズアップ

HBZ260EZ の特徴(軽さと使い勝手)

最初にHBZ260EZの特徴を整理します。現場での取り回しや、軽さを重視する方に人気のあるモデルです。

主な仕様(EZ)

  • 排気量:25.4cc(26ccクラス)
  • 重量:約3.7kg(比較的軽量)
  • スターター:EZアシストスタート(軽く引ける)
  • 最大風速:73(動画内表記)
  • 最大風量:13(動画内表記)
  • ノズル:S字ノズル+丸パイプノズル、さらにフラットノズルが標準付属

ポイントは「軽さ」と「付属のフラットノズル」。EZは本体重が3.7kgと扱いやすく、操作疲労が抑えられます。ノズルに関してはS字形状を採用しており、ノズル自体をできるだけブロワの中心に近づけることでバランスを良くしています。

バキュームキットのイメージ説明(過去モデルの話)

バキュームキット(集塵・吸引機能)について

以前のモデル(例:HB2320)ではバキュームキット(吸い込み袋を付けて掃除機のように使う機能)がありましたが、HBZ260EZにはバキュームキットの設定が公式にはありません。なぜかというと、バキューム機能で使用されるプラスチックファンが砂や小石を吸い込むことで摩耗しやすく、結果としてファンの劣化が進むと風量・吸引力の低下を招くためです。

実際にはプラスチックファンは交換可能ですが、摩耗した状態で使い続けるとブロワ本来の風力が出にくくなる点が問題になり、メーカー側がバキュームキット設定をやめたのではないかと私は考えています。

ノズルと使い勝手

EZには標準で丸いパイプノズルのほか、幅広に風を送れる「フラットノズル」が付属します。フラットノズルを使うと風が平たく広い範囲に拡散するため、落ち葉や草を広範囲に一度に吹き飛ばしたいときに便利です。

スロットルレバー(ロック機構)の使用説明

HBZ260LV の特徴(振動低減・快適性重視)

次にHBZ260LV。EZと見た目や排気量は似ていますが、使い心地に直結する大きな違いがあります。LVの最大のセールスポイントは「ダンパースプリング」による振動低減です。

HBZ260LVのダンパースプリングが動く様子

主な仕様(LV)

  • 排気量:25.4cc(EZと同じ)
  • 重量:約4.1kg(EZに比べ約0.4kg重い)
  • 風量:13(EZと同等、動画内表記)
  • 風速:70(EZの73に対し若干低め、動画内表記)
  • ノズル:丸パイプノズルが標準、フラットノズルは付属しない(部品で購入可)
  • ダンパースプリング:ハンドルとエンジンをスプリングで繋ぎ、振動を吸収

LVはハンドル側と本体エンジン側の間にスプリング(ダンパー)機構が組み込まれており、エンジン振動が直接手元に伝わらないように設計されています。これは長時間作業するプロや振動に敏感な方にとって大きなメリットです。

HBZ260LVの重量表示と比較

振動低減の効果と重量のトレードオフ

ダンパースプリングを追加することで振動は明らかに抑えられますが、その分本体の重量は約400g増えます。動画で実際に比べると、LVは明確に手元の振動が軽減される一方、持ち運びや取り回しの際にはEZより若干重さを感じます。

作業用途で選ぶときは次の点を考えてください:

  • 短時間での軽作業や女性の方、取り回し重視 → HBZ260EZ(軽さ優先)
  • 長時間作業や振動疲労を減らしたい方、プロ作業 → HBZ260LV(快適性優先)

HBZ260LVの本体がS字にカーブしている様子

外観・バランス設計の違い(ノズル配置とボディ形状)

見た目で大きな違いは、EZはノズル自体がS字になっているのに対し、LVは本体側がS字にカーブしている点です。どちらも「ノズルをできるだけブロワ本体の中心に寄せる」ことを目的にしており、強風を受けたときに本体が押されてバランスを崩さないよう工夫されています。

強い風でブロワ自体に力がかかると、片手で操作しているときに本体がグッと押されて疲れることがあります。ノズルやボディの形状が中央寄せになっていることで、持ちやすさと操作の安定性が向上しています。

S字ノズルのクローズアップ(EZのノズル)

操作性:スロットルロックとアシストグリップ

両機種ともにスロットル(握ると風が出る)以外に、任意の位置でスロットルをロックできるレバーがついています。これにより長時間同じ風量で使いたいときに指を握り続けなくて済むので、指の疲労を抑えられます。フルでロックすると最大風量で連続運転できますし、中速にロックすれば中風量での作業が可能です。

アシストグリップを使って両手で作業している様子

さらにアシストグリップ(補助持ち手)があることで、片手だとしんどくなる場面でも両手持ちでバランスよく作業できます。長時間の作業、あるいは重めの吹き飛ばし作業ではこのアシストグリップがあると非常に楽になります。

安全性・メンテナンスの観点

エンジンブロワは周辺の埃や砂を巻き上げるため、エアクリーナーやフィルターの保護が非常に重要です。両モデルともにエアフィルターが二重構造になっており、布フィルターとスポンジの二重でエンジン内部への粉塵侵入を抑えています。

  • 定期的なフィルター清掃は必須:フィルターが詰まると始動性の低下や出力低下、燃費悪化の原因になります。
  • バキュームキットを使わない方針の理由:プラスチックファンが砂利や砂を吸い込んで摩耗しやすい→風量低下やファン破損につながる。
  • ゴムグリップは静電気防止のため:粉塵による静電気が体に伝わるのを防ぎます。

二重構造のエアフィルターの説明カット

付属ノズルの違いと追加購入の可否

EZは標準でフラットノズルが付属しますが、LVは丸パイプノズルのみが標準です。フラットノズルは落ち葉や刈草を広範囲に吹き飛ばすのに非常に有効なので、広い場所の作業が多い方には重宝します。

LVでもフラットノズルを後から部品として購入すれば使用可能です。当店(きこりあぐり通販)でも部品で取り扱っていますので、後から追加で導入することもできます。

HBZ260EZ付属のフラットノズルの形状

どちらを選ぶべきか?用途別のおすすめ

最終的な選び方の指針を現場目線でお伝えします。

HBZ260EZ をおすすめする人

  • 軽さを重視する人(3.7kgで取り回しが楽)
  • 家庭や短時間作業が中心で、取り回し優先の方
  • フラットノズルが標準で付属するモデルが欲しい人

HBZ260LV をおすすめする人

  • 長時間作業やプロ用途で、手元の振動を少しでも減らしたい人
  • 振動疲労が気になる高齢者や手に不安がある人
  • 静粛性や快適性を優先したい人(総合的な作業負担を軽減)

どちらも一長一短があり、用途や体力、作業の頻度・時間で最適解は変わります。私の現場経験から言うと、毎日長時間使うプロの方はLVの振動低減が効いて作業効率と疲労軽減に繋がるためLVを選ぶことが多いです。一方で家庭用途や軽作業主体であればEZの軽さと付属のフラットノズルがコスパ良く感じられます。

LVのダンパースプリング部分と振動低減についての説明

よくある質問(Q&A)

Q:風速・風量の違いは実際の作業でどれほど影響しますか?

A:動画内表記ではEZが風速73、LVが70という数値になっていますが、この数値差だけで日常作業に大きな差が出ることは稀です。実際に作業してみると、風速の差よりもノズル形状や操作のしやすさ(バランス、持ち方等)が結果に与える影響の方が大きい場合が多いです。

Q:LVにフラットノズルは使えますか?

A:使えます。ただし標準付属ではないため部品での購入が必要です。当店ではLV用のフラットノズルを販売していますので、必要な方は追加でご注文ください。

Q:バキューム(集塵)機能は将来的に欲しいのですが?

A:公式にはHBZ260EZはバキュームキットの設定がありません。過去モデルではありましたが、プラスチックファンの摩耗が問題となるため現行では推奨されていないようです。集塵を考えている場合は、専用の掃除機タイプまたは集塵性能の高い別機種の検討をおすすめします。

メンテナンスとアフターサービス

きこりあぐり通販では、安さだけでなく「安心」をセットに商品を販売しています。プロの機械整備士が発送前に点検・試運転を行い、購入後のアフターメンテナンスも対応しています。エンジンブロワは定期メンテが重要なので、何か不具合や疑問があればお気軽にご相談ください。

まとめ

まとめると、HBZ260EZは「軽さ」と「標準でフラットノズルが付属」する点が魅力、HBZ260LVは「ダンパースプリングによる振動低減」で長時間作業の疲労を減らせる点が大きな特徴です。重量はEZが約3.7kg、LVが約4.1kgで、風量は両方とも同等、風速はEZがわずかに上回るという構成です。

選ぶ際のポイント:

  • 短時間・家庭用/取り回し優先 → HBZ260EZ
  • 長時間・プロ用/振動対策が欲しい → HBZ260LV
  • フラットノズルは後付け可能(LVでも部品購入で対応)
  • バキュームは現行では推奨外(過去モデルの対応は限定的)

どちらもきこりあぐり通販で販売・点検・整備対応を行っています。購入後の点検や部品のご相談も承りますので、用途やご希望に合わせてお気軽にご相談ください。

部品購入でLVにもフラットノズルを装着できることを説明する画面

最後に

現場で長年触ってきた立場から言うと、「何をどれくらいの頻度で、どのような環境で使うか」を最優先に選んでください。軽さを取るか快適性(振動低減)を取るかで選択が分かれます。迷ったら使用時間の長さを基準にすると選びやすいです。

今回ご紹介したHBZ260EZとHBZ260LVは、どちらも良い製品です。皆さんの作業環境や体力、用途に合った一台を選んで、効率よく安全に作業してください。ご不明点があれば、きこりあぐり通販の窓口またはチャンネルのコメントでご相談いただければ、現場の視点でお答えします。

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