混合燃料とチェーンオイルを間違ってしまった時の対処法

混合燃料とチェーンオイルを間違ってしまった時の対処法

チェンソーを使っていると、一度はやってしまいそうになるのが、混合燃料とチェーンオイルの入れ間違いです。実は私自身も経験があります。

本来、燃料タンクには混合燃料を入れ、チェーンオイルタンクにはチェーンオイルを入れます。しかし、給油口が近くにある機種では、うっかり逆に入れてしまうことがあります。

大切なのは、間違いに気づいた時点でエンジンをかけないことです。早く対処すれば、修理店へ持ち込まず、その日の作業に戻れるケースもあります。

ただし、今回の方法はどのチェンソーにも使えるわけではありません。プライミングポンプ付きのチェンソーで行える、応急的な洗浄方法です。プライミングポンプがない機種では、燃料経路を同じように強制洗浄できません。

まず確認したい、燃料タンクとチェーンオイルタンクの役割

チェンソーには、基本的に2つのタンクがあります。

  • 燃料タンク: エンジンを動かすための混合燃料を入れる場所
  • チェーンオイルタンク: ガイドバーとソーチェーンを潤滑するチェーンオイルを入れる場所

混合燃料はエンジンで燃焼する前提の液体です。一方、チェーンオイルは粘りのある潤滑油です。燃料タンクへチェーンオイルを入れたまま始動すると、エンジンはかかる場合もありますが、白煙が多く出たり、その状態がなかなか収まらなかったりします。

さらに、燃えたチェーンオイル由来のカーボンがプラグなどに付着する原因にもなります。間違えたまま「とりあえずかけてみる」はおすすめできません。

この対処法ができるチェンソーの見分け方

ポイントは、燃料を送るためのプライミングポンプが付いているかどうかです。始動前に透明または半透明の小さなポンプを何度か押し、燃料をキャブレター側へ送るタイプですね。

チェンソー側面のプライミングポンプを示す手元

プライミングポンプ付きのチェンソーでは、燃料タンクから燃料フィルター、ホース、キャブレター、プライミングポンプ、戻りホースを通り、再びタンクへ液体が戻る構造になっています。

この循環を利用すると、誤って燃料系統へ入ってしまったチェーンオイルを、混合燃料でできるだけ押し戻して洗浄できます。

反対に、プライミングポンプが付いていない場合は、この方法では通路内を十分に洗えません。その場合は無理に始動せず、購入店や修理対応の店舗へ相談してください。

入れ間違いに気づいた段階で対処は変わる

まだプライミングポンプを押していない場合

入れた直後に気づき、まだプライミングポンプを押していないなら、対処は比較的シンプルです。

  1. チェーンオイルタンクへ誤って入れた混合燃料を抜く
  2. 燃料タンクへ誤って入れたチェーンオイルを抜く
  3. 燃料タンクに少量の混合燃料、またはガソリンを入れてタンク内をすすぐ
  4. すすいだ液を抜く
  5. 正しい混合燃料とチェーンオイルをそれぞれ入れ直す

この時点では、まだチェーンオイルがキャブレターやホース内に入っていないため、タンク内の洗浄をしっかり行うことが中心になります。

プライミングポンプを押してしまった場合

問題になるのは、燃料タンクにチェーンオイルを入れた状態でプライミングポンプを押してしまったケースです。

チェーンオイルは混合燃料より粘りがあります。そのため、ポンプを押した時の戻りが遅い、押しても燃料が上がりにくいといった違和感が出ることがあります。この違和感で入れ間違いに気づくことも少なくありません。

ポンプを押してしまった場合は、チェーンオイルが燃料ホースやキャブレターまで回っていると考えてください。タンクだけを空にしても十分ではなく、燃料通路も洗浄する必要があります。

燃料タンク側を洗浄する手順

ここからが、プライミングポンプ付きチェンソーで行う応急処置です。作業中に出る液体は使えないため、あらかじめ大きめの容器を用意しておくと作業しやすくなります。

チェンソーを傾けて金属ボウルへ燃料タンク内の液体を抜く様子

1. 燃料タンク内のチェーンオイルをできるだけ抜く

まず、燃料タンクから誤って入れたチェーンオイルを容器へ抜きます。タンクを傾け、できる限り残らないように抜いてください。

完全に一滴残らず抜く必要はありませんが、この後の洗浄を効率よくするため、最初にできるだけ多く除去しておくことが重要です。

2. 混合燃料またはガソリンを少量入れてタンクをすすぐ

次に、燃料タンクへ混合燃料、またはガソリンを入れます。最初はタンク内を洗うための量で構いません。

キャップを確実に閉め、チェンソーを軽く振ってください。タンク内壁に残ったチェーンオイルを混合燃料側へなじませるイメージです。

キャップを閉めたチェンソーを持ち上げて振る様子

振り終えたら、タンク内の液体を容器へ捨てます。この液体はチェーンオイルが混ざっているため、再利用しません。

3. 混合燃料を半分程度入れ、プライミングポンプを押す

続いて、燃料タンクに混合燃料を半分程度入れます。キャップを閉めたら、プライミングポンプを何度も押します。目安としては10回から20回程度です。

チェンソーのプライミングポンプを指で押している拡大写真

この操作によって、混合燃料がタンクから燃料フィルター、ホース、キャブレター、プライミングポンプへ流れます。すでに通路内へ入ってしまったチェーンオイルを、混合燃料と一緒にタンクへ戻すのが目的です。

単にタンクをすすぐだけでは、キャブレターや配管内に残ったチェーンオイルは取り切れません。プライミングポンプを押すことが、この手順のいちばん大事な部分です。

4. 再び振って、洗浄液を捨てる

ポンプを何度も押したら、再度チェンソーを軽く振ります。その後、タンク内の混合燃料を容器へ捨てます。

ここまでの工程を、2回から3回程度繰り返してください。繰り返すことで、燃料タンク、燃料ホース、キャブレター内からチェーンオイルをできるだけ除去できます。

チェンソーを金属ボウルの上で傾けて洗浄液を抜く様子

洗浄が終わったら、使用する分の混合燃料を燃料タンクへ入れます。通常どおりプライミングポンプを押し、始動準備を整えます。

チェーンオイルタンク側はどうするか

チェーンオイルタンクへ誤って入った混合燃料については、燃料タンク側ほど神経質に洗浄する必要はありません。

混合燃料はチェーンオイルのような粘りが強い液体ではないため、まずはタンク内の混合燃料をしっかり抜きます。その後、通常どおりチェーンオイルを入れれば大丈夫です。

チェーンオイルタンク側の液体を金属ボウルへ抜くチェンソー

燃料タンクはエンジンの燃焼系統につながるため洗浄が必要です。一方、チェーンオイルタンク側は、混合燃料を抜いてチェーンオイルを補充する流れで対応できます。

洗浄後の始動と白煙について

燃料タンクと燃料通路を洗浄してから始動すると、白煙を抑えた状態でエンジンをかけられる可能性が高くなります。

洗浄せずに始動した場合は、チェーンオイルが燃えて大量の白煙が出て、その煙がなかなか収まらないことがあります。対して、プライミングポンプで通路内をしっかり洗浄しておけば、多少煙が出ても早く燃え切り、通常の燃焼状態へ戻しやすくなります。

始動できたからといって、洗浄を省略してよいわけではありません。エンジンへ余計な負担をかけず、プラグへのカーボン付着も抑えるために、先に洗浄してから始動するのが基本です。

作業の流れを簡潔に整理

燃料タンクにチェーンオイルを入れ、プライミングポンプまで押してしまった場合は、以下の順番で進めます。

  1. エンジンをかけない
  2. 燃料タンク内のチェーンオイルを大きめの容器へ抜く
  3. 混合燃料またはガソリンを入れてタンクをすすぎ、捨てる
  4. 混合燃料を半分程度入れる
  5. プライミングポンプを10回から20回程度押す
  6. チェンソーを軽く振る
  7. 混合燃料を捨てる
  8. この洗浄工程を2回から3回繰り返す
  9. 使用分の混合燃料を入れ、通常どおり始動する
  10. チェーンオイルタンク内の混合燃料を抜き、チェーンオイルを入れ直す

廃液は必ず適切に処分する

洗浄で出た混合燃料、ガソリン、チェーンオイルが混ざった液体は使えません。地面や排水口へ流すことはせず、各自治体で定められた方法に従って処分してください。

入れ間違いは、誰にでも起こり得ることです。大事なのは焦って始動せず、間違いに気づいた時点で止めること。そして、プライミングポンプ付きのチェンソーなら、燃料タンクだけでなく燃料通路まで混合燃料で洗浄することです。

間違えないのが一番ですが、もしもの時にはこの手順を思い出して、落ち着いて対処してください。

 

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